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ユングは、フロイトの抑圧理論を仮定した無意識の

ユングは、フロイトの抑圧理論を仮定した無意識の構造は、より巨大で底知れぬ無意識の全体からすれば、表層の構造であり、更に深い心の部分に、意味と感情が有機的な連関構造を築いている膨大な領域があるとした。このような膨大な有機的統合に、何らかの亀裂・乖離が生じた場合、人間の心は精神分裂病を発病するのであると考えた。フロイトの抑圧理論の扱う層での乖離は「神経症」を齎すのであり、精神分裂病の機制はより深く、魂にとって本質的な層での障害である。

フロイトの抑圧理論は無意識の表層領域での力動で生じ、このような領域をユングは、「個人的無意識」と名づけた。フロイトの理論では、「無意識」は意味のない記憶やイメージや感情が単に、秩序もなく堆積しているだけの場所である。

しかし、このような「無意識」が、膨大なその深層領域で「意味ある構造」を持ち、この構造を通じて、古代の神話や伝承、また当時、レヴィ=ブリュール(1857?1939)などの研究で明らかとなって来ていた、未開人や、様々な文化圏の人々の心理が理解可能となることをユングは知った。精神分裂病患者の荒唐無稽と思われていた妄想でさえ、パターン的に意味理解の道が開けた。ユングは、この膨大な深層領域を「集合的無意識」と名づけた。

カール・グスタフ・ユングの分析心理学は、このようにして成立した。それは無意識全体における動力学理論であった。

ユング心理学の「集合的無意識」と「元型」の概念は、神話学や民俗学、宗教学や文化人類学の研究者に大きな影響を与えた。
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チューリッヒのユング研究所が主催したエラノス会議には、心理学、宗教学、神話学、民俗学等の多様な研究者が出席し、会議において発表された論文は、学際的な研究成果として意味を持った。神話学者カール・ケレーニー、宗教学者ミルチャ・エリアーデ等は、ユング心理学より多くを学んだ。作家ヘルマン・ヘッセも出席したという。

その一方、ユングが生前、錬金術や超常現象の研究なども志向し、「共時性」を、占星術、テレパシー、予知等を説明する原理としても考察したため、超常現象研究者やオカルト的宗教が、その主張を依拠させる科学理論として、ユング心理学を利用するというような事態も生じた。

このような逸脱または過剰解釈は、元々ユング心理学内部に含まれていた文学的・宗教的要素によると考えられる。フロイトの精神分析が、ポパーの規準による「反証可能性」の見地から、科学ではないと批判されたのとは別の意味で、ユング心理学の内在させる非科学性が批判されている。ユングの方はといえば、宗教や芸術に、科学同様固有の価値を認める、というのがそもそものスタンスなのであった。

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2009年06月08日 11:56に投稿されたエントリーのページです。

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